弟に鍵を持たせて学校に行った。まだ、小学生だったので多少の不安はあったものの、家から学校の距離が近いので落とすことはないだろう、と暇も結ばずに手渡しで鍵を持たせた。だが、僕が家に帰ると弟が家の前で待っていた。 その時に嫌な予感がして、鍵は?、と聞いたら、見つからない、と半泣き状態。後に、家族会議。それからは、弟の学校ルートに鍵が落ちていないか確認。弟と一緒に帰っていた友人にも連絡。結果はどちらも功を奏さず。その時、家族内では、誰かが鍵を警察に届けたのでは、と思い、警察に電話してみるも結果は見つからず。この時の家族内では、僕がどうして鍵を持たせたのか、そして、誰かが、鍵を盗ったのではないか、という責任感と、犯罪に巻き込まれてしまったような重たい雰囲気を子供ながらに感じた。それから探すも、一向に鍵は見つからず、家という安置に居るはずなのに不安で夜が怖かった。ある日、このままでは危ないのではないか、と踏んだ父が鍵を変えることにした。約一週間捜索した後のことだ。鍵は買い替え、弟が、ランドセルを下ろし、荷物を整理していた時だった。なんと、あれほどまでに探していた鍵がするっと出てきたのだ。 この鍵トラブルの一件で、人というのはパニックになると身近な物事よりも遠くにあるものにばかり目が行ってしまうことを身をもって痛感した。また、これを機に、鍵を落としても直ぐに分かるように、我が家では鍵ルールを作った。それは、「鍵を持ち出す際は家に帰るまで絶対に触らないこと」、「鍵を持ち出す際は必ず親からの許可をもらうこと」「鍵には鈴などの音が鳴るものを取り付けて万一落とした時にでもすぐに気づけるようにする」といったルールだ。 鍵は一度でも無くしてしまうと家族全員を巻き込んだ大事になってしまう。そういう、大変なことになってしまうものは前もってルールや対策を作っておくと後の将来にも役に立つと感じた。