私がまだ小学校に上がりたての頃のエピソードになります。
その頃母親は専業主婦で、いつも家に居りました。
そのため、母が出掛けて家を空ける際にはいつも前もってその事が告げられ、鍵を持たされていたのですが、ある日学校から帰ると玄関のドアは閉まっており、チャイムを鳴らしても応答がありませんでした。
どうやら母は私が帰るまでに家に戻るつもりでその日は私に告げずに出掛けたようでした。
そのまましばらく玄関で待っていれば良かったものの、いつ母が帰ってくるか分からない不安から、何とか家の中に入ろうと考えてしまいました。
小学校になったばかりの私はまだまだ幼稚だった為、そこで取った行動はあろうことか“鍵の代わりの物を使って鍵を開けよう”というものでした。
どこで得た知識かは覚えて居ませんが、おそらくテレビアニメやコントで見た泥棒が硬い棒状の物でカチャカチャすると鍵が開いていたのを思い出した私は、玄関の周りを見渡しちょうど良い物がないかと探し始め、見つけたのは庭の植木を折った細い枝でした。
枝を差し込み回してみましたが、もちろん開く訳もなく、さらに細い枝は折れて鍵穴にハマってしまいました。
枝も取れずにっちもさっちもいかなくなった時「帰ってたの?」と後ろから母の声が。
「鍵がないから枝で開けようとしたんだけど枝が抜けなくて」「えっ?!」と母が枝を取ろうと試みるも全く取れず。
“お家に入れなくなっちゃった。そろそろお姉ちゃんも帰って来るのにどうしよう”と思っていた所、「どこか窓開けてないかしら」と母が家の周りを見に行き、奇跡的にトイレの窓が少し開いている事に気付きました。
「抱っこするから登れる?!」と母が言い、母が私を抱き上げ私はトイレの窓から家に入ることに成功しました。
トイレの窓がもう少し小さかったり、私がもう少し大きければ恐らく不可能な程ギリギリでした。
何とか家に入った後は母が家の中からピンセットを持ち出し鍵穴にハマった枝も取り除く事が出来た為、事なきを得ました。