それは30年ほど前のお話です。
私は当時大学生で、地元を離れてアパートに一人暮らしをしていました。
季節は冬。飲み会に参加して、朝帰りになった日に起こったトラブルです。
明け方のまだ日が昇る前、私はアパートに帰ってきて、ドアに鍵を差し込もうとしました。
すると、鍵が入りません。最初は、鍵間違えたかな?って思いましたけれども、1種類しか持ってないので、そんな筈ありません。
そして鍵穴を見ると、驚きの理由が判明しました。
なんと鍵穴の中は凍っていたのです。
驚きました。水道管が凍るのは聞いたことありますけど、鍵穴まで凍るとは。
とはいえ、理由が分かれば少し安心です。とけるのを待っていれば良いのです。
しかし、そんなにすぐにはとけませんでした。
さらにそのときの私の格好は、凍るほど寒いのに、ショートパンツに生足でした。
数分間じっとその場に待ってただけでも、寒さで倒れそうです。
このまま待ってるのは無理なので、色々策を考えました。
まず思いついたのは、コンビニに行き温かい飲み物を買ってきて、鍵穴にかけてとかすことです。
しかしどのくらいかければ良いか分かりませんし、貧乏学生の身、もったいないと思いました。
次に思いついたのは、日が昇ればさすがにとけるだろうから、それまでファミレスで時間をつぶすというものです。
いえ、それこそお金の無駄です。
なにせ飲み会でお金を使ってきたばかりです。
あとは隣の部屋に入れてもらうことも考えました。
しかし、もちろんまだ寝てるでしょうから、かなり迷惑です。
そうこうしているうちに、ドアの前に倒れて、意識朦朧としてきました。
どのくらい時間経過したのか?
鍵穴から雫がポトポト垂れて、私の顔に落ちて、目が覚めました。
私は立ち上がると再び鍵を差し込み、力を入れました。
すると見事に鍵は穴に入って、ドアも開きました。
部屋に入り、ほっと一息入れたのもつかの間です。
二度と同じ目にあわないように対策考えないと、と思いました。
後日友達にそのことを話したら、「そもそもショートパンツ履かなきゃいいじゃん」って突っ込まれました。