あれは、妻とゴミ捨てに行った時の事です。
「あれっ、鍵がない」
車と家の鍵がまとまったキーケースは、妻が持っているはずでした。
妻が散々ポケットの中を探しますが、見つかりません。
「まさか、ゴミと一緒に捨てた?」
妻は頷き、子猫の様な目で僕を見つめました。
その時の顔は、今でも忘れられません。
現場は、大量のゴミを集めて分別する場所でした。
鍵は、ゴミの奥深くに眠っている。
その上、どの分別ゴミの中に捨てたのかも分からない。
その状況で鍵を探すのは困難でした。
現場のおじさんに鍵の事を伝えると、集荷場所のリサイクルセンターで見つけてくれるとの事でした。
ただ、問題は解決していません。
すぐに家に入ることが出来ないのです。
師走の寒風が吹く中、外で待つのはさすがに辛い。
時間を潰そうにも、近くに喫茶店はおろか、コンビニすらありません。
仕方なく、鍵の110番に電話し、家の鍵を開けて貰うことにしました。
鍵の解錠中、こうやって泥棒は家に侵入するのだなと、不覚にも思ってしまいました。
費用は1万5000円。
とても痛い、勉強代でした。
次の日、鍵が見つかったと連絡があり、胸をなでおろしました。
その日から、ゴミ捨ての際は鍵をポケットに入れてから、というのがルールになりました。
互いにチェックしあっています。
最近は便利になり、スマホが鍵の役割をしてくれますね。
それでも、私は思ってしまいます。
“いや、それでもスマホ無くすやん”
まさか、スマホをゴミと一緒に捨てる人はいないと思いますが(笑)
鍵がこの世から無くなれば良いなと、私は密かに思っています。
鍵が無くても泥棒に入られないぐらい、素敵な世の中になると良いですね。